弱者に手を差し伸べるべきか否か。

「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残ることが出来るのは、変化できる者である。」
 
ダーウィンが言われたとされる名言。
(実際は本人は言っておらず、その後別の人が別の解釈を加えたという話もあるけどそれは置いといて)
 
最近コロナ禍でこの名言の意味を痛感。
未知のウイルスの想定以上の感染に対し、対策を施して対応した者が生き残る。
これは人間だけでなく、企業に関しても同じことが言えるように思います。
 
感染症だけでなく、地震台風といった災害など、企業を脅かす事象がいつ起きるかわからない世の中、こういった事態を想定して柔軟に対応できるかが、企業存続のカギではないでしょうか。
(そういった意味で、私は危機管理対策は中小企業が今やらないといけない最重要課題だと思ってます)
 
さて、今回話題にしたいのは「こういった変化に耐えられない企業に手を差し伸べるべきなのか」という問題。
 
なぜこの話をするのかというと、先日うちの社長から夏休みの課題図書的な本をススメられたのがきっかけ。

国運の分岐点 中小企業改革で再び輝くか、中国の属国になるか (講談社+α新書) | デービッド アトキンソン |本 | 通販 | Amazon


アナリストとして活躍してきた著者が、今後の日本の中小企業施策に対しての提言的な話をまとめていて、下手な自分なりに要約すると、「これから確実に人口減少していく日本において、日本の生産性を上げていくためには今まで手厚い支援をしてきた中小企業(特に零細企業)の数を減らし、中規模企業に資源を集中させることで生産性を上げていく」という内容。
(まとめ方下手くそなので詳細知りたい人はぜひ買って読んでみてください)
 
この提言については極端過ぎる感じがして共感できないんですが、ただ「すべての企業に一律に手厚い支援をするべきなのか?」というところは一定の理解ができます。
 

例えば経営相談の電話でよくかかってくるこの2つ。


Aさん「1〜2ヶ月収入がはいってこなくて、このままだと明日には首をくくらないといけないんです…。 何とかしてください! あ、お金は借りたくないので支給金みたいなやつとかないですか!?」
 
Bさん「今コロナで収入が激減してる中で生き残るために、こういった事業をしようと思ってるんですけど…何か補助金とかの制度ってありますか?」

 

両方とも「金銭面で何か支援してくれるような制度ありますか?」という内容。
ただAさんの場合、批判覚悟で言うと「変化に対応しようとする努力をせず、ただ他人に助けを求めているだけ」という感じ。
一方Bさんは「自分なり変化に対応する術を考えていて、それについてサポートして欲しい」という感じ。
 
個人感情だとBさんを応援してあげたくなりますが、今の日本の中小企業施策は平等性の観点からAさんもBさんも支援するという方向性。
Aさんの場合、これで持ち直してもまた不測の事態が起きたらまた助けを請うだけなのではないか。(ゾンビ企業みたいな感じ?)
長期的な視点から考えるとAさんの支援に振り分ける資源をBさんの支援に活かした方が今後の日本経済にとっては良いのではないか?
そんな気がしています。まぁ、実際はこの企業の線引きをするのが難しいかもしれないですが。
 
「一生懸命頑張ってる企業を応援したい」というのは誰もが思うこと。
そう思ってもらえるよう、普段から様々な事態に対して、真摯に取り組む姿勢が大事なのではないかと思う。
それは企業だけでなく人でも同じことが言えるので、自分も物事に真摯に取り組むべき、というのを改めて感じました。